現代能楽集Ⅲ『鵺/NUE』
作・演出 宮沢章夫 を観劇。 現代能楽集、というタイトルなものだからもっと能の型がバリバリ出てくるようなものだと思っていたが、能らしさは前面には押し出しては来なかった。能の構造を、上手く現代に置き換えようと言う試みのようだ。 劇中劇が多く、昨日観に行った友達は、混乱した、と言っていたがそこまで複雑ではないように私には思えた。分かりやすいように劇中劇は演出されていたように思う(それが私には違和感を感じた部分だが) 現代的なセットなのに、形は能舞台を縦にした感じになっているが、能舞台のお決まりごとはあまり意識されていないようだ。(恐らく意図的なものなのだろうが)いや、正確に言うと、そういう部分はあるのだが、完全な規則性は持っていない。 人は何かを生み出すことは出来ず、私達は絶えずして、あるものを変化させているにすぎないなぁ、と感じた。 16時には開放され、何だかこのままいそいそと帰るのも・・・・・・ということで、新宿で映画『ブラックダリア』を見るか、下北沢で燐光群『チェックポイント黒点島』を見るかで少し悩むが、下北にあるラーメン屋に行きたくなったので、下北に行くことにする。 燐光群『チェックポイント黒点島』 作・演出 坂手洋二 『屋根裏』『上演されなかった三人姉妹』と続く、古澤は3本目の燐光群。やはり、『屋根裏』に同じくある一つの場所・建物(共通のメタファー的場所・建物)があり、そこから別々な世界(地域、次元を超えた世界)にリンクしていくのが面白い。世界が共鳴し、リンクしながら展開していく。そして、展開していくにつれて、どんどん真実が見えにくくなっていく。見せられているものの中に嘘があり、その嘘を暴かれて、お客は見たものを全てそのまま信じることができなくなる。何が嘘で、何が本当なのか、自分自身で考えなくてはならなくなる。 チェックポイントとしての自分、何者でもない、境界線として存在している自分をみつけることは、人間の自分自身に対しての存在を問う形になっていて何かしら、共感する部分を与える。『屋根裏』の時には人間の超個人的な空間から、それを社会的問題に昇華していったが、今回はその逆で、社会的なチェックポイント(検問所)という場所から、個人的心理を構造化している。 『チェックポイントチャーリー』という検問所の装置の使い方が上手い。横回転に360度回る装置、というのはありがちだが、それがありがちのように思えないのが坂手さんの常に新しいものを、誰もやったことのないものをやりたい、という信念の表れであろう。『屋根裏キッド』と同じような扱い方と考えれば、想像はしやすいと思う。
by playgirl69
| 2006-11-10 00:27
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JOYのブログ Ⅱ
裸体アレルギー
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