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不思議な夏

昔怖い話しが大好きだった

怖い話をよく友達に話したし、父親母親からも聞きたがったし、読む本は怖い話ばかりだった。

一番最初に書いたオリジナルの脚本も怖い話しだった。

ホラーの世界に浸るとき、なぜかそこに私の居場所があるような気がした。


今は全く駄目だ。

この間あまりにも怖い話しが苦手になっているため、リハビリを兼ねて稲川順二のホラー体験談を携帯から読んだが、一話読んだだけで駄目になってしまった。

怖い話しをするのも、されるのも苦手だ。

だが、人が人を殺すようなものは平気で、そういう映画とかサスペンスは全然見れる。

むしろ好き。

昔は人が人を殺す映画が苦手だったんだけど、なんでだろう。


昔は肝試しとか大好きでよくやった。

好きな人とペアになるように仕組んで、私は好きな人とペアにww
途中でキャーとか言って抱きついちゃおうと思っていた甘酸っぱい中学時代。
「本物」見ちゃって無言ダッシュで好きな人を置いていった懐かしいあの日。


昔はあたりまえに聞こえたし見えたから、「特別」とか「怖い」なんて思わなかったのかもしれない。「不思議」「気になる」の方が強かったのかも。



私の住宅のむかーしの管理人さんが、私に怖い話を良くしてくれた。
彼はものすごい耳がおたふくのおじいさんで、顔のしたの方まで耳が垂れていた。

私はある日、彼の管理人室に入ることを許され、彼の住む部屋に入った。
薄暗く、じめじめとして、異質な雰囲気を放つ場所だった。
くらーい部屋の中から、耳の垂れた管理人さんが私に声をかける。
「おじょうちゃん、こっちにおいで」
私はいつもと声の調子がちがう管理人さんに戸惑いながら、部屋に入った。

そこには、沢山の紙が散らばっていた。
私がその紙の一枚を拾おうとすると

「駄目!」

と声にならない声で凄まれた。その声は脳に直接届くようだった。

「今見せてあげるから、ゆっくりこっちにおいで」

そういわれて、慎重に私は部屋へと入った。
ひんやりとしてじめじめとした空気が私を包んだ。

「これは●●●」だよ

そういって、彼が私に渡してくれたのは人間のような化け物のようなものが墨で描かれている絵だった。

「おばけ?」

そういうと耳の垂れたおじいさんは

「これはようかいだよ。ここら辺にはよくいるんだ」
「そうなの?」
「そうだよ。おじさんが見たようかいを絵に書いてるんだ」
「閉じ込めてるの?忘れないように?」
「・・・・・・・・」
「もっと見たい」
「駄目だ。今日はこれでお終い。また今度見せてあげるからね」

そういわれて私は部屋から追い出された。
そして、その場所には二度と入れてもらえなかった。



夏のにおいはなぜか懐かしい。
夏の音はなぜか遠い。
夏の風はなぜか記憶を呼び覚まさせ
夏の感覚が啓く。



私は何を忘れているんだろう。

何か忘れているはずだ。
by playgirl69 | 2007-08-12 14:02 | 自己
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